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花に心を通わせて

FDA認定校 ブルーメンファンタジエ 主宰
河野 祐己子さん(大阪府)

今年の夏は例年にない暑さで、この日も信じられない程の青空と、考えられない程の蒸し暑い日でした。始まるまでの心配と不安をよそに、患者の皆さんやご家族の方々の笑顔、「これから毎日やってくれるの?」などの声に心がほっこりして、講習からの帰途につきました。

 年を重ねるにつれ、わずかながらも“社会への参加”を意識するようになり、老人ホームでのボランティアでフラワーセラピーを行うようになり、思うように身体が動かないシニアの方々にも出会うようになりました。そんな時に協会からご連絡を頂き、同じような気持ちでお引き受けしました。それから月日が流れ、実際に担当が決まるまで1年以上が経ちました。その間、華輪で既に講習を行った先生方のレポートを拝見させて頂き、皆さん病気についてもしっかりと勉強されているのを読ませて頂き、「パーキンソン病」について何も知らない自分に不安を感じました。イーライリリーさんに問い合わせ、病気に関する資料を送っていただき、読み進めていくうちに、複雑な気持ちになりました。

 12年前、母を1年半ほぼつきっきりで介護した時の事が蘇り、その時の自分を重ねて、患者さんだけでなく、そのご家族の事に思いを馳せていました。当時は体力的にも、精神的にも疲れがピークでした。空いた時間に育てた花を眺めてはボーッとする毎日でした。あの時の自分は心も脳も癒しを求めていたのでしょう。その時の事が天然色で蘇ってきました。今回の機会に、患者さんと共に介護されているご家族の方に少しでも、花を見て、触り、飾る事で、心を解き放つ一時を提供できたら・・・。これなら私にもほんの少し出来るかもしれない・・・。と思えるようになってきました。

 花を選ぶ段階になり、あれこれと思いを巡らせていました。手を思いのままに動かす事が困難であれば、短い花で美しいアウトラインを作る事は難しいでしょうから、あまり花首を短く切らないゆるやかでシンプルなホリゾンタルに決めました。デザインよりも視覚からの「色」や触覚からの「質感」にポイントを置きました。色は元気の出るイエロー、これは代表的な夏の花、ヒマワリを。優しい気持ちになる淡いピンク、スプレーカーネーションで。さわやかな白とグリーン、小ぶりの八重のトルコキキョウとアスパラミリオンでまとめる事にしました。そして講習前日の朝、仕入れ時に濃赤のスカビオサ(マツムシソウ)をアクセントとして使う事にしました。このスカビオサは患者さん達に大人気で「可愛い!可愛い!」と声に出され、「スカビオサは覚えられないけどマツムシソウならいける!」と好評でした。そしてもう一つ、市場にホヤ(ハートリーフ)が出ていて、これなら花持ちの悪いこの季節、花が終わった後も土に挿し、毎日眺めて頂けると思い選びました。お見舞いに鉢物は禁物ですが、長い期間病気と闘っていかれる方が、ご自分で植物を育てるのは、自分もそうだったように心の癒しになるのではないかなと考えました。

 当日は自分同様ご家族の介護の経験のある、久保恵子さん(FDA2級)がアシスタントに手を挙げて下さいました。イーライリリーの方との約束の時間の1時間前には現地に到着しました。会場を設営、スポンジの吸水、かごにセロファンとラッピングペーパーを敷き、リボンは全て2人で作り、仕上がりに挿すだけの状態までにしておきました。花を飾ることは難しいことではなく、とても楽しく幸せな気持ちになれるという事を伝えたかったのでハートリーフにもワイヤーをかけておきました。恵子さんのお陰で大変スムーズに準備が運びました。

 開始時間になり、参加者は6名。あいさつや説明は「ゆっくりと大きな声で終始笑顔で」を心がけました。当初の印象は「この方々が病気?」と思う程、しっかりと話し、しっかりと歩き、逆に驚きました。ところが5分おき程に一人また一人と、どんどんお医者さんやご家族に車椅子を押されて参加者がやって来られました。ご自分でいらした6名の方は、軽度の方々で中度、重度の方、全員で14名になりました。最後にいらしたお二人はどちらも大変重い症状でお二人ともご主人が付き添われていました。ご主人はお二人とも一生懸命に奥様に話しかけられていましたが、全く反応がありません。手を動かすどころか肩で息をする程で見ていてとても切なくなりました。目の前の机上で作ってさし上げながら、ご主人とお話をしました。患者さんのお名前を伺い、呼びかけながら「トメさん!お幸せですね、いつもご主人が側にいて下さって・・・。」そうすると突然ご主人が涙を流し、「もう私のこともわかってないと思います。何も楽しい事もなく、人生って・・・。」と声をつまらせました。私の方までのどが熱くなり気持ちが一杯になりました。「介護する側のご主人が少しでも元気になっていただけたら・・・。」と言うのが精一杯でした。もう一人の重度の患者さんのご主人は「昔、これ(奥様のこと)は花が大好きでした。」と言って奥様に向かって「ほら、わかるか?ヒマワリやで。」としきりに声をかけておられました。どのように接していいのか少し迷いましたが、思い切って患者さんの動かない手を取り、花を一つ一つ手の甲や指に触れさせて「これがヒマワリ、これがトルコキキョウですよ。気持ちいいでしょ!」と話しかけ、手をもって一緒にスポンジに挿していきました。こうして講習は終了を迎えました。

 始まる前には緊張のせいか無表情な方がほとんどだったのですが、終了時には皆さんニコニコとして、顔も紅潮していつものことながら、あらためて花の生気の素晴らしさを感じました。そしてこの後信じられない事が起こりました。花好きの重度の患者さんが部屋を出られる時、ご主人が車椅子の向きを変えるため、奥様のひざの上にできあがった作品を置かれました。向きを変えてご主人が作品を持ち上げようとすると、奥様はしっかりと握って放そうとしないのです。“花”を感じ、思いだし、とても喜んでいらっしゃるのがわかり、思わず「ありがとう」と心が叫びました。

  これからも花の美しさを一人でも多くの方に感じてもらえるように花に心を通わせていきたいです。花の原点を感じられるボランティアセミナー。イーライリリーの方々、協会の方々、お手伝い頂いた久保恵子さんにも大変感謝しています。ありがとうございました。
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